こんにちは、デザインチームの瀬尾です。
今週は雨降りが続き梅雨らしい空模様でしたが、来週はまた暑くなる予報ですね。体調管理に気を付けたいものです。
さて、本日は前回に続いてリノベーションした建物のご紹介を。京都市内にある『京都芸術センター』です。地下鉄の四条駅から少し奥に入ったところに登場します。

元の姿をほぼそのまま残す形で再整備されたそうですが、最初の用途が何だったか分かりますか?門の正面から見ると、答えが書かれています。

写真の左側の門柱に『京都市立明倫小学校』の文字が!そうです、ここは元小学校の建物をリノベーションした建物となります。明治2年に開校した小学校をのちに改称し、地元の方の寄付による昭和6年の大改装を経て、現在の校舎が竣工したそうです。一見すると小学校とは思えないモダンな風貌ですが、窓の感じなど、どことなく懐かしさを感じるような哀愁が漂っているなと感じました。

こちらは小学校時代の正面玄関です。時代的な背景や、土地柄(当時から近隣に絵師や学者の方が暮らすなど、文化・芸術に理解があったそうです。)の関係があるかと思いますが、それにしてもおしゃれな校舎…うらやましいです。ところどころにアール・デコの装飾が見られるのも一つの特徴ですね。
ちなみに、アール・デコのデザインの特徴を簡単にまとめると、装飾性が低く、直線や幾何学的なパターンを使ったシンプルなもの、といったところでしょうか。よくアール・ヌーボーと比較されたりしますので、混在しないように注意が必要です。こちらの話はまたいずれ出てくるかと思います(笑)
ちょうどオープン展示がされていて、建物内外のいろいろなところに作品が飾られていました。オープンと言えどアーティストさんの作品なので、ここに載せるのは控えようと思いますのであしからず。

中庭に出るとグラウンドと思われる空間が!街中の立地のため、グラウンドはコンパクトな印象ですね。白線の感じなど、なんだか懐かしくてほっこりしました。整然と並ぶ窓はまさに小学校の教室っぽいですが、やはり時代なのか自分が通っていた学び舎とは全然違うなと思いました。昼休みになると子供たちが走って集まって来たのかな、賑やかな声が響いていただろうな、なんて想像すると微笑ましいです。
別の角度から見るとこんな感じです。

懐かしい時計が目に入ったので思わず写してしまいました。屋根はスペイン風の瓦ですね。オレンジ色の瓦と、クリーム色の外壁がよくマッチしています。
校舎はグラウンドを囲むように建っています。立地を生かした敷地計画も絶妙だなと思いますが、防犯的にも有効だったのではないでしょうか。当時の教室や職員室は、ギャラリーや制作室などに利用されているそうです。伺ったのはお昼前でしたので、比較的静かな感じでした。
中も少し見させて頂きました。

竣工時から残っているスロープです。手摺は木製で作られていますが、子供たちが手で触れることを意識してデザインされたのが伝わりますね。階段よりもスペースをとるため、計画が難しかったのでは、と設計目線で少し考えてしまいました。
『京都芸術センター』内には喫茶室も入っています。

京都のさまざまな施設に出店する『前田珈琲』さんの支店第一号となります。
2020年に支店の20周年を記念して、京都出身の現代美術家と建築家を中心としたメンバーが集まったプロジェクトにより空間が新しくなったそうです。教室の雰囲気が色濃く残っていた当初の姿も見てみたかったなと思いましたが、今の雰囲気も作品の中にいるようで面白かったです。
見切れていますが、写真の右側にある飾り棚はロフト用の階段が使われているようでした。住宅では取り入れることがあまりない店舗特有の使い方かもしれませんが、こういうディスプレイの仕方も面白いなと勉強になりました。全貌が見たい方はお声掛けくださいませ。(人が写っているので、ブログへのアップは控えようと思います。)

この壁の裏がキッチンです。ニッチ的な小窓が可愛らしいですね。そこから料理が提供されますので、利便性も備えたデザインとなっております。
本日も長くなってしまいましたのでこの辺で。次回もお付き合い頂けますと幸いです。