こんにちは、デザインチームの瀬尾です。
蒸し暑い日が続いていますね。先週は打合せや調査などで外に出る機会が多かったですが、少し外にいるだけでも水分をとらないと熱中症になりそうでした。毎日外で作業をされている職人さん方には頭が下がります。厚労省からも通達が出ておりますが、無理をせず十分に対策をとってこの夏を乗り切りたいですね。
さて、先日、船室デザインについての展示会があったので行ってきました。船に興味があるというよりは、その建築家に興味があったからですが、その時に、以前ブログの中でご紹介させて頂いたル・コルビュジエが登場しておりました。ル・コルビュジエは、生涯をとおして船に強い興味と憧れを抱いていたことで知られていたため、時代背景も重なり、関連させての説明がされていたようです。
というわけで、本日はそちらにまつわる建物を紹介しようかなと。
通な人であれば、“コルビュジエ”、“船”、と聞いて思い浮かぶ建物は、彼の代表作の一つ、『マルセイユのユニテ・ダビタシオン』かと思います。初めて聞く方は、なんて噛みそうな名前、という感じでしょうか(笑)
ユニテ・ダビタシオンとは、フランス語で住まいの統合体、などの意味があるそうです。コルビュジエは、生涯に5つつのユニテ・ダビタシオンを設計されています。その内の一つ、フェルミニにあるユニテ・ダビタシオンがこちらです。(私たち建築学生は普段、“ユニテ”と呼ぶことが多いので、以下、ユニテと省略させて頂きます。)

日本で連想する集合住宅とは少し趣が違いますよね。大型の集合住宅の場合、アパルトマン、などと呼ばれることが多いと思いますが、住まい以外に幼稚園やジムなど様々な都市機能が併設されて計画されたため、ユニテという呼び方になったと考えられます。このフェルミニのユニテも、最上階は幼稚園として利用されていました。今は法律の関係等でありませんが、外観の雰囲気から、住戸機能ではない使われ方をしていたと想像できますね。


足元はお馴染み、ピロティのつくりとなっております。荷重のことを考慮して、柱型よりも壁に近い形状が採用されていますね。給排水設備の関係もあるかもしれません。
今の時期だからでしょうか、風が通り抜けて気持ちよさそう…と久しぶりに写真を見て感じました。もう何年も前ですが、この写真を撮ったのは2~3月でしたので寒かったのを覚えておりまして、印象は季節で変わりますね。
建物内から外を眺めると郊外に立地しているのが分かります。眺めが良いです。車がないと不便かなとは思いますが、戦後復興期、ベッドタウンとして発展したことが想像できますね。


どのユニテもそうですが、鮮やかな色が印象的な建物ですよね。コンクリート製のため遠目にはモノトーンの印象ですが、フランス国旗を思わせる赤や青の色彩の使い方はさすがだなと思います。派手過ぎず地味過ぎず、時代を経ても受け入れられるデザインかなと感じました。
建物のまわりには子供たちが遊べるようなスペースがあり、芝生も管理されていました。 ここで過ごしてきた多くの子供たちが走り回っている姿を想像すると、なんだか温かい気持ちになりますね。学校から帰って、すぐに近くで集まれる場所があるというのは良いなと思います。
ピロティの一部には、見覚えのある姿がありました。

『モデュロール』を説明する際に片手を上げたような人型が登場しますが、そちらを模った彫り物が施されていました。思わず一緒に写りたくなってしまいます(笑)
余談ですが、屋上に当時あった幼稚園は、ちゃんと子供サイズの『モデュロール』が採用され、手洗い場やトイレなど、住戸とは異なるサイズ感で設計されていたそうですよ。
いつかマルセイユのユニテも見学してみたいです!
今日はこの辺で。次回もお付き合い頂けますと幸いです。