こんにちは、デザインチームの瀬尾です。
もうすぐ8月も終わりますね。お盆を過ぎると暑さも和らいでくると言われていましたが…最近はどうも違ってきているみたいです。引き続き、熱中症対策を意識して過ごしていきたいですね。
さて、ご存じの方もおみえでしょうが、先日弊社は有志のメンバーで社員研修に行っておりました。地場の工務店さんや設計事務所の方と交流し学ばせて頂いたり、様々な建物を見て参りました。今後の仕事に活かしていきたいなと気持ちも新たに仕事に取り組んでおりますが、何故か私、見学をしているうちに無性にスペインに行きたくなりまして(笑)ですので、本日はスペインの建物をご紹介しようかなと思います。

分かる方には分かるこちらの写真。室内からの一枚ですが、独特のファサードがこれしかない、と言っている感じですね。
バルセロナに建つ『カサ・バトリョ』です。


骨の家やドラゴンの家、など様々な愛称で親しまれているようですが、私の印象はやっぱり骨(骸骨)でした。メインストリートに建っていますが、浮いていないのがすごいなと感じます。この建物だけを見るととても奇抜なデザインに思えるのに、他の建物群と並んで建っていることに特段違和感を覚えず…。計算しつくされた設計なのだと改めて思いました。
設計者はアントニ・ガウディですね。建築を学んでいない方でもこの方をご存じの方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。斬新なデザインで芸術的な面が目立ちますが、モダニズム期に活躍した建築家らしく、奇抜な装飾に見えても機能性を兼ね備えていることが、真似できず多くの人を虜にする魅力なのかなと感じます。


見学者の方もたくさんいらっしゃるので、人が写り込まないように写真を撮るのはなかなかに一苦労です。この建物は、大繊維業のジョセップ・バトリョ・カサノバ(発音によって訳は多少異なるかと思います。)の邸宅として、改築工事により今のデザインとなりました。当初は撤去し、新築の設計として依頼されたそうですが、ガウディは、建物のしっかりした躯体を残しリサイクルして使うことを薦めたそうですよ。このエピソードを見聞きしたとき、勝手ながら一気に親近感を覚えました。
左の写真は2階にあるサロンです。アーチを取り入れた優美な曲線がたまりませんね。光をしっかりと取り込み、ステンドグラスに反射する雰囲気はとても厳かです。もしまた訪れる機会があれば、今度は夕方の時間帯も味わってみたいなと思っています。最初の写真はこの窓の手掛け部分ですが、本当に手に馴染む。是非訪れた際には握ってみて下さいませ。

こちらは階段の手摺ですね。階段も1ヶ所ではないので、その空間に合わせたいろいろな曲線を味わえます。雑誌などでよく紹介されるのは、こちらではなくバトリョ家に上がるエントランスホールかと思いますが…タイルなども空間毎に合わせて異なるデザインが使われているので、あえて違うところをご紹介させて頂きました。


こちらはパティオの写真です。
あまり聞き慣れない言葉かもしれません。スペイン語で、『中庭』や『裏庭』を意味する、屋根のないオープンスペースを意味する言葉です。この空間があることで、下の階にも光や風が届くよう工夫されています。また、下の階でも明るさが保てるよう、パティオのタイルは下へ行くほど色が明るくなっているそうですよ。
『カサ・バトリョ』は海をコンセプトにしていると言われていますが、ここに建つと実感しますね。自然光によって反射した光が幻想的で、海の中に佇んでいるような錯覚を覚えます。自分で言うのは柄でもないので少し恥ずかしいですが、なんだかロマンチックな空間です。

屋上も見ごたえたっぷりです。
どの建築家さんもそうですが、細部まで手を抜かない姿勢が写真からでも伝わりますよね。

ここは正面ファサードの裏側です。瓦を鱗に見立てて龍の背中をイメージしたそうですよ。破砕タイルのグラデーションも素敵ですね。実際には、ここには水槽タンクが置かれていたそうです。
ちなみに、『カサ・バトリョ』はすべての扉に通気口が設置されているようで、20世紀ではじめて換気を重視した家だと言われているそうです。勉強になりました。
また長くなってしまいました。家具などインテリアにもガウディの想いが込められていますので、見学時間はどれだけあっても足りません。余談ですが、『カサ・バトリョ』は今年ユネスコ世界遺産登録20周年を迎えるそうで、外壁ファサードなどの本格的な修復がされておりましたが、そちらが無事に完了しているそうです。オリジナルの色彩、是非生で見たいなぁと夢を膨らませる今日この頃です。
本日はこの辺で。次回もお付き合いいただけますと幸いです。