背割れは何のため?~木材と乾燥について~

皆さんこんにちは。設計部の三輪です。
今日は木のこと・木材のことを学んできた僕ならではのブログです!

柱の背割れを見ながら、
「これって何のためにやってあるんですか?」
というような質問をされることがあります。
確かに柱の一辺に上から下まで一筋の割れ目があると一体何のためのものなのか疑問に思いますし、一抹の不安さえ感じますよね。

目的の一つに、木材表面の割れを「起こりにくくする」ことがあります。
木は乾燥とともに収縮することはご存知かと思いますが、収縮具合は方向によって異なります。
分かりにくいと思うのでこちらの画像と合わせて↓

円周方向(年輪の円周方向)と放射方向(半径の方向)、繊維方向(木の長さ方向)でそれぞれ収縮率は違うんです。
長さ方向はほとんど変わらなくて、一番収縮率が高いのが円周方向、次いで放射方向です。

おんなじ割合で縮んでいけばさして問題はないのですがそんなこともなく、円が中心に向かって小さくなる割合よりも、円周が小さくなる割合の方が高いため、乾燥とともに木材の表面が割れていってしまいます。(いわゆる材面割れ)

そこで、どこか一辺に『背割れ』を入れることでその他の表面に材面割れを起こしにくくする効果があります!

天然乾燥や低温乾燥の木材にはほとんど背割れが行われています。

最近よくみる高温乾燥木材は表面を一気に高温で乾燥させる『高温セット乾燥』という乾燥方法をとることで材面割れを防ぐことができるため、重宝されていたりもします。

私個人としては高温乾燥木材は好きではありません…
森林文化アカデミーでは天然乾燥と低温乾燥木材しか扱わないなかで、一度だけ高温乾燥木材を刻んだ時、木材の香りの違いに衝撃を受けました。
木材は高温にさらされると酸っぱい臭いに変わっていきます。100℃前後でその香りは顕著に変わるといわれています。この香りの差はそれぞれを嗅いでみていただくのが一番手っ取り早いのですが、なかなかそんな機会はないですよね…
柱材は中低温乾燥の木材にこだわって使用していますが、梁の杉はなかなかいい乾燥温度の木材に出会えておらず。ちくちくとプレカット会社さんに申していますので、いつかは杉の梁も中低温乾燥の木材をお届けできるといいなと思っております(笑)

乾燥による強度の違い(粘り強いとか)は巷では言われていますが、木材の乾燥と強度の研究はとても深くて明確にそれを断言できる研究結果はまだありません…
ただ、香りは確実に乾燥温度によって異なります!
ちなみに、材木の色も乾燥温度で全然違ってきます♪

余談が過ぎましたね(笑)

ちなみに「背割れは強度的には大丈夫なんですか?」と質問されることも多いですが、柱で使う分にはまず問題ありません。梁で使う場合は背割れの向きを上か横向きにすれば問題ありません◎

背割れは木材乾燥にこだわった証でもあります。
トレッキングツアーの丸太も背割れをしますが、大きな丸太になると背割れをしても材面割れを防ぎきることは難しかったりもします…
ちなみに木材の材面割れは強度に影響はありません!柱や梁の表面に割れがあったとしてもご安心ください♪

この春トレッキングツアーで伐採した丸太は大場棟梁と篠田棟梁が丹精込めて背割れを行いました♪
長手方向にまっすぐ切れ目を入れていくのは実はなかなかに難しく、抵抗感もあってかなり集中力と力を使います!
見てください、この真剣な眼差し!

この春伐採した丸太が先日早くも上棟に出陣しました。お施主様も自分が伐採した丸太が建前で使われた姿をご覧になって、いい思い出になっていればいいなと思うばかりです。

これから続々と丸太が出陣していくと思うとなんだかワクワクします♪

本日も最後までご覧くださりありがとうございました!
ちょっとアカデミックな話といいますか、細かい内容のブログとなってしまいましたが、皆様が『木』や『木材』に興味を持つきっかけになれば幸いです♪木の特性などはなんでも三輪までご質問ください!

この記事を書いたスタッフ

三輪 昂寛

部署:設計
資格:二級建築士・3級ファイナンシャルプランニング技能士