皆さんこんにちは。設計部の三輪です。
はやいもので11月も中旬。2025年も残すところ1か月半となりましたね。2025年は学校の卒業、凰建設への入社、初めての建築業界での仕事、建築士試験受験など、激動の1年で、色濃く充実した時間でした。あとわずかの2025年も楽しみながら、がむしゃらに過ごしていきたいなと思うばかりです。
先日、森林文化アカデミー在学中に、同期が基本設計した物件の建前が始まるとのことで兵庫県は小野市まで同期の友人とともに足を運びました。ありがたいことにアカデミー時代の繋がりのおかげで他の会社の設計士さんや工務店さんの現場見学を快く受け入れていただき、学びを得る機会をいただけます。トヨダヤスシ建築設計事務所の豊田様、あかい工務店様、ありがとうございました。

架構にはシザーズトラスを採用し、スパンを飛ばした無柱空間を作る工夫がされています。小規模な建築だからこそ、少しでも柱を少なくしたすっきりとした空間づくりを目指しています。見学は地組みだけとなってしまったので、実際に立ち上がった時にどんな軸組空間が出来上がるのか楽しみです。なかなか住宅建築ではお目にかからない架構ですが、集成材ではない製材(無垢材)で大スパンを飛ばせる工夫は、製材派の僕としてはとてもわくわくとした気持ちになりました♪
その後は豊田先生におススメいただいた『旧小河家別邸』へ訪問。
明治から大正にかけて活躍した三木市の実業家「小河秀太郎」が別荘として建築した邸宅で、敷地面積は約2200㎡!池泉回遊式庭園の主庭を中心に、前庭、側庭、裏庭、中庭の5つの庭園に囲まれています。

門前から厳かな空気が漂います。古民家は門がケヤキやクリなどの広葉樹で作らていることが多いのですが、こちらの門柱は立派なヒノキ。しかも外側からみると柾目というこだわり。相当な大径木だったことでしょう…
主庭の中心には池がたたずんでいて、池を中心にぐるりと散策できるようになっていました。ちょうど紅葉シーズンで見ごたえ抜群ですが、驚いたのはこちらの灯篭。

これだけ大きな灯篭が池の上にはねだしているのです!左側の大きな岩がカウンターウェイトになっているのかとは思いますが、構造に驚きを禁じえませんでした。
そして建物の入り口です。

この入り口周辺だけで1000万円近くの建築費だったといわれているそう。床を見てみると幅広なケヤキの板が何枚も使われています。銘木市場でしか見られないような大きなケヤキだったんだろうなと想像に胸を膨らませます。
入ってすぐ印象的だったのがこの照明!

すずらんのようなかわいらしさに目がひかれます。欧米文化が入ってきたばかりの時代ならではのレトロモダンさが漂っていました。
先ほどの主庭を縁側から望むと何とも満たされるような気持になります。



建物近くにたたずむこちらは樹齢百年を超えるモチノキ。こんな立派なモチノキはなかなかお目にかかれません。小河家やこの建物とともにここで成長してきたんだなぁと、歴史に思い馳せてみたり。
そして建物内部で一番印象的だったのがこの軒桁です!

小径丸太が、なんと約10mも飛んでいます。しかも受けている両端部は下まで柱が落ちていません!いくら屋根だけとはいえ、昔ながらの重い瓦屋根がのっているのに、どうやって成り立っているんだろう!?そんな会話をしながら見学しているのは私たちぐらいでした(笑)構造の件はさておき、丸太桁に丸太垂木の軒裏が作るその空気は、現代の住宅では目にかかることは少なく、古民家ならではといえばそれまでかもしれませんが、『木』らしさが感じらる木造建築の魅力を再認識しました。
伝えたいことは山ほどありますが、既に長文なのでこれぐらいにとどめておきますが最後に素敵な建具をご紹介!



シャープな格子が印象的な襖や、一見網代かと思うような襖、筆で絵が描かれた板戸など、建具一つとってもどれも見ごたえ抜群!
こちらの旧小河家別荘は三木市の管理になっており、なんと見学は『無料』!これだけ見ごたえがあるのに、本当に無料でいいんでしょうか…。少々遠い場所ですが、お近くに行かれた際はぜひ訪問してみてはいかがでしょうか?
今回のブログはこれにて。長文を最後までお読みくださりありがとうございます!

